2014年6月に京都府立医科大学に設置された「生物統計学」講座では、統計学に基づいた臨床・疫学研究の方法論およびデータサイエンスについての教育および研究を行っています。
また当講座は、2014年11月に発足した「研究開発・質管理向上統合センター(CQARD: The Center for Quality Assurance in Research and Development)」の生物統計・データマネージメント部門を主導しています。これまで我が国では、治験と(治験以外の)臨床研究の実施基準に大きな差が存在していましたが、徐々に国際標準であるGCP(Good Clinical Practice)に統一されていくと思います。当部門の任務の一つは科学的な臨床・疫学研究の計画・実施であり、もう一つはデータの信頼性確保です。研究の科学的妥当性については、生物統計の専門家が計画段階から主要メンバーとして参画することが必須です。データの信頼性については、データマネジャー、プログラマーを中心に研究者・医師から独立したデータセンターを設置・運営することを基本として、さらにはモニタリング・監査の体制を構築することが必要です。
教育については、学部では生物統計学および臨床・疫学研究方法論の基礎的な講義を行い、大学院生、研究者、医師、メディカルスタッフ等に対しては、その方法論に基づいて研究実施計画書の作成および具体的な実施手順を指導することにより、臨床・疫学研究の科学的妥当性を高めることを目標としています。研究においては、新しい研究デザインやデータ解析手法を開発するとともに、多岐にわたる分野の研究者・医師と協同して成果を発信していきたいと考えています。
皆様には、今後益々のご指導およびご支援をお願い申し上げます。